La Touche Française(ラ トゥッシュ フランセーズ)はフランス北西部のブルターニュ地方で作られています。
今では進化したハイテク素材が沢山使われ、大変便利な時代となりましたが、はるか昔は、ウールを使ったニットで寒さを凌ぐ手法が、「当時の最先端」でした。
冷たい海風の大西洋上を主漁場とする漁師さんや、18世紀頃から船で活発に玉ねぎやニンニク行商を行っていたブルトン(ブルターニュ地方の人たちの愛称)商人にとって、この海風を凌ぐことは大変重要な課題でした。そして防寒の為に工夫に工夫を重ねて生まれたニットこそが、現代の私たちが「マリンニット」と呼ぶニットです。
玉ねぎやニンニクの行商を行っていた人たちをフランス語では、「Marchand d'ail(マルシャン ダイユ)」といいますが、直訳では「ニンニク商人」の意味です。
フランス語では「商品」のことを「Marchandises(マルシャンディーズ)」といいますが、この単語はこのニンニク商人が語源となっている説が有力なくらい、とても重要な役割を果たしていた人たちでした。そしてこのニンニク商人の「マルシャン ダイユ」が時と共にだんだんと端折られた発音になったのが、「Chandail(シャンダイユ)」という説が最有力です。
現代でも、通称で「Chandail Marin(シャンダイユ・マラン)」と呼ばれ、全てのマリンニットの原型となったこのニットは世界中で愛されております。
今ほど科学が進んでいなかった時代(18世紀以降)の防寒着として、シャンダイユ マランのニットはその高い保温性・防風性といった機能面が重宝されてきました。当時のハイテク商品が現在では、ローテクな商品になってしまっているわけですが(笑)、少し目線を変えるとこのような高密度のガッシリとしたセーターは、様々な機能性と利便性を兼ね備えております。
① ウール100%なので熱が内にこもりにくく、適度に自然な温度調整(呼吸)を行ってくれます。
② ウール糸自体が備えている天然の撥水効果に加え、編地も高密度なため自然な軽撥水効果を得られます。
③ 首元がきつく感じるほどギリギリまでニットがあるのは、少しでも防寒面積を増やす昔の名残りです。首回りが狭いため、着脱を行いやすいように左肩に3つのボタンがついてます。
La Touche Française のマリンニットは限りなく昔ながらの手法を保つニットです。
生産は、古くからマリンニットを専業としているブルターニュの工場で行われております。
もう一つの特徴として、とてもフレッシュなカラーを採用していることが挙げられます。
これらのアイデアソースは、彼らがこよなく愛する母国フランスの、様々なライフスタイルや産業、特産物など、何らかの生活に根付いたインスピレーションから提案されております。
この商品のカラーは海軍の司令官に由来しています。
水兵さんといえばボーダーのイメージが強いかもしれません。
"matelot"と呼ばれる新人水兵さんは、水中に落ちたときに見分けられるよう全ての個所にボーダーが入った海軍服を着用していたそうです。マリンボーダーの由来の有力な説の一つです。そして先輩の水兵さんは、胸部より下がボーダーで上が無地のものを着用していました。
そしてこの商品についてですが、指揮を執る立場の司令官は多くの時間を船室で過ごすため、水中に落ちる可能性は極めて低いですよね。だから、見極める必要がないので無地のものを着用していたのです。
無地やボーダーに、それぞれの意味があって今に至る。
今はファッションとして。
面白いですよね。
肩のボタンを一つ外して着るのが、粋なブルターニュっぽい着こなしですよ。